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外国人材採用の切り札「育成就労制度」が国会で可決成立しました!

日本はあらゆる業界が深刻な人手不足に直面しており、多くの企業が人材確保に苦労しています。この課題に対応するため、そして国際協力という目的を掲げながらも実際は労働力確保の手段として使われていた技能実習制度に取って代わらせるため、日本政府は2024年3月に「育成就労制度」を閣議決定し、6月に国会で可決成立しました。

施行開始は2027年が目標となっています。

育成就労制度とは、簡単に言えば「人手不足の産業分野で、外国人労働者が働きながら技能を身に着け、最終的には特定技能制度(特定技能ビザ)に移行できるようになる」ための制度です。その名の通り、育成と就労という、二つの意義を併せ持ちます。育成就労制度で来日する外国人労働者は、3年間働きながらスキルを磨き、特定技能1号レベルのスキルを身につけ、その後は特定技能1号へ移行する事で引き続き同じ分野で働くことができるようになります。

特定技能制度との関係

育成就労制度とは、働きながら特定技能制度に移行するための下地を形成するものです。

その特定技能制度は2019年4月から始まった比較的新しい制度で、特定産業分野と呼ばれる、特に人材不足が顕著で、積極的に外国人労働力を取り入れる必要がある業界を対象としています。職務のための技能と日本語力において、一定の基準を満たす外国人が、その分野の試験を受けて合格することで特定技能1号の在留資格を取得することができます。

特定技能制度がいわば即戦力の働き手を確保する制度とすれば、育成就労制度は即戦力となる人材を育成する制度であると言えます。育成就労制度の対象分野は、原則として特定技能制度の対象分野と同じです。上述の特定産業分野の内、日本国内での就労を通じて、外国人材に技能を修得してもらうことが相当とされる分野が該当します。

技能実習制度に代わる新しい制度

育成就労制度は技能実習制度を廃止して創設される制度です。技能実習制度は1993年に開始した制度で、外国人材が日本での業務を通じて知識や技術を身に着け、母国での経済発展に役立てることを目的として掲げています。しかし、実際には国際貢献ではなく、人手不足を補うための手段として利用されることが多いというのが現状です。結果として日本の労働力不足を助ける制度とはなっていたものの、制度目的に合わせて作られた仕組みが実態に沿わないために、多くの問題を抱えています。特に、原則として転職が認められないため、職場トラブル(人権侵害)に起因する人材の失踪は大きな問題となっています。

育成就労制度は、日本の人材不足問題を認め、国際貢献ではなく人材確保を目的とした制度で、それに相応しい外国人材がより安心して働ける環境を作ることを目指すものとされています。

例えば、職場での外国人の権利保護、不適正な送り出し機関による高額な手数料の徴収問題、外国人労働者の失踪問題の解決が掲げられています。

近隣諸国・近隣地域との人材獲得競争

育成就労制度が創設されるもう一つの理由は、国際的な人材獲得競争です。外国人労働力を必要としている国は日本だけではありません。特に、近年は台湾・韓国が低熟練外国人労働者の受け入れを拡大しており、日本は外国人労働者に選ばれる国としての順位を下げていました。上述の技能実習制度の人権侵害問題も表面化し、国内外のメディアで取り上げられるようになった事も加わり、日本政府としても、「日本が選ばれない国」となることが危惧されていたのです。そこで、外国人に魅力のある制度を創設し、「選ばれる国」にしたい、ということが制度創設の背景の一つとなっています。

企業側のメリット

育成就労制度は、外国人労働者が3年間の育成期間を経て、同じ労働力確保のための制度である特定技能制度に移行することを想定しています。外国人材が育成就労期間終了後に特定技能1号に変更し、引き続き勤務する事も可能です。これにより、企業は長期間にわたって安定した労働力を確保できるようになります。

外国人材側のメリット

育成就労制度は、技能実習制度の失敗を踏まえ、人権侵害防止が強化されます。人材定着の観点から、条件付きとはなっていますが転職する事も認められます。また一部の国では、送り出し機関と呼ばれる、受け入れ機関(就職先)斡旋・人材育成・出国のサポートを行う法人が、非常に高額な手数料を海外で働きたいという人材から徴収することが常態化し、問題視されています。そこで育成就労制度は、その送り出し手数料を受け入れ機関に負担させることで、外国人材の負担軽減と手数料の適正化を促す仕組みも有しています。

現在は2027年に育成就労制度が開始となる予定となっていますが、それまでには更に仕組みが整備され、日本では働きたい外国人にとって従来の技能実習制度より安心して利用できる制度となるでしょう。

また、育成就労制度は、制度終了後特定技能1号、特定技能2号への道が用意されている事も魅力的です。外国人材はより長期的に日本で労働することができるようになるでしょう。

終わりに

本制度は、採用企業側にとっては「従前の制度より整備が進んだ、外国人材確保のための新しい制度」であり、外国人材にとっては「日本を選ぶ新たな理由」となるでしょう。特定技能制度と共に、今後の日本における労働力確保の主力な制度の一つとなることが期待されます。

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