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外国人の方に知っておいていただきたい日本の年金制度

今回は、日本で暮らす外国人の方に知っておいていただきたい、日本の年金制度についてご案内します。

先日、厚生労働省は外国人の年金加入を徹底するため、文書での加入の呼びかけに応じない場合、10月をめどに日本年金機構が加入手続きを職権で行う仕組みを導入する方針を明らかにしました。

現状、日本で暮らす外国人(20〜59歳)の年金制度への未加入割合は約5%と、日本人の同年代の未加入割合を大きく上回っています。

厚生年金の適用事業所で働く外国人は大半が加入していると思われますが、適用事業所において常用的に働いていない方、留学生・自営業者や、適用事業所でない事業所で働く方などにおいて国民年金の加入手続き漏れが発生しているようです。

年金の種類

日本で暮らす20歳以上60歳未満の全ての人には年金制度への加入が義務付けられています。日本国籍を持たない外国人でも、日本に住所があって暮らしている限り何かしらの日本の年金制度に加入しなければなりません。

日本の年金には、原則として20歳以上60歳未満の日本に住む人すべてが加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金の2種類があります。

2種類の年金

日本の年金は、「国民年金」「厚生年金」の2種類があります。

このうち厚生年金については、厚生年金の適用事業所は、被保険者となる従業員を使用している場合は必ず加入手続きをしなければなりません。適用事業所に常用的に使用され、対象となる方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金の被保険者となります。これらの方の手続きは従業員自身ではなく、事業主が日本年金機構へ書類を提出することによって行います。

一方、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方で厚生年金に加入していない方は、全て国民年金の被保険者(第1号被保険者または第3号被保険者)となります。

つまり、厚生年金に加入していない方は、国民年金への加入義務があり、自分で加入手続きをする必要があるということです。

年金未加入のままではどうなる?

年金の保険料を納めなかった場合は未納の扱いとなり、その期間は受給資格のための加入期間としてカウントされないため、将来の年金受給資格に影響が出てきます。年金制度に未加入のままでは、日本において、65歳以降になった場合の老齢年金、それ以前に障害を負った場合に通常であれば給付される障害年金ももらうことができない可能性があります。

また、在留資格を更新したり、永住権の獲得を目指したりしている外国人の方にとって年金の未納は大きな問題です。年金の未納や滞納の記録が残っていると「日本の法令を遵守していない」とみなされてしまい、審査が通りにくかったり、不許可になったりする可能性が高いと言われています。

冒頭で言及した通り、厚生労働省は外国人の年金未加入の方の職権での加入手続きを進めていくこととしています。

保険料免除制度と保険料納付猶予制度

しかし、20歳以上60歳未満であり、日本で暮らしているからと言って、来日したばかりであるとか、学生であるとか、国民年金保険料を支払う余裕がないこともあるかもしれません。ここからはそういった方々が利用できる保険料免除制度と保険料納付猶予制度をご紹介します。

国民年金保険料の納付が経済的に困難な場合、保険料の納付が「免除」または「猶予」される制度です。

☆保険料免除制度

所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人が申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。

免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。

前年所得が下記の通りに計算した額以下である場合にこの免除制度の対象となります。

☆保険料納付猶予制度

20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、本人が申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。

※本人と配偶者のみの前年所得で判断されます。世帯主の所得は関係ありません。

所得の目安としては

(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

で計算した額以下である場合にこの特例制度の対象となります。

☆学生納付特例制度

また、学生の場合、学生納付猶予制度があります。

学生納付特例を受けようとする年度の前年の所得が一定以下の学生が対象となります。なお、家族の方の所得の額は問われません。

前年所得が下記の通りに計算した額以下である場合にこの特例制度の対象となります。

128万円+{(扶養親族等の数)×38万円}

☆「免除」と「猶予」の違い

保険料を「免除」された期間は、将来受け取る年金額に一定額反映されます。一方、「猶予」の期間は追納しない限り、年金額に反映されません。

猶予や免除の期間に関しては、後になって、追納をすることが可能です。追納をしない場合、将来受け取れる年金額は通常通り納めた人に比べ、減額されます。

まとめ

  • 厚生労働省は外国人の年金未加入の方の職権での加入手続きを進める方針である。
  • 厚生年金の適用事業所に勤めていて、被保険者に該当する場合、自身での手続きは不要。加入手続きは事業主が行う。
  • 厚生年金の被保険者に該当しない場合、国民年金の被保険者に該当。加入手続きは自身で行わなければならない。
  • 国民年金の未納は、将来年金を受け取れない可能性や、永住権の申請に影響を及ぼす可能性がある。
  • 国民年金の保険料の支払いが難しい場合、納付の免除及び猶予の制度がある。

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