「経営・管理」の在留資格は、平成26年の法改正により「投資・経営」の在留資格を改正して設けられました。「投資・経営」では外国人が日本に投資していることが前提とされていましたが、外資の参入している企業の経営・管理業務に外国人が従事することができるよう、新たな在留資格として「経営・管理」ビザが創設されました。
「経営・管理」ビザは、原則として外国人の方が日本で会社を設立して事業の経営を行う場合や、事業の管理を行う場合、その事業に投資して経営を行う場合などに取得する在留資格です。
①日本において事業の経営を開始し、その経営を行い又はその事業の管理に従事する活動
②日本において既に営まれている事業に参画してその経営を行い又はその事業の管理に従事する活動
③法人を含む日本において事業の経営を行っている者に代わってその経営を行い又はその事業の管理に従事する活動
以上のように、経営管理ビザを取得できるのは、事業の経営や管理に実質的に参加する人であり、具体的には社長、取締役、監査役、部長、工場長、支店長などが該当します。
経営管理ビザを取得すると、他の就労ビザとは違い事業内容に制限がないため、法律上認められるビジネスであればどのような事業でも日本においてスタートできます。自らが経営する会社において、特段の制限なく様々な事業を行うことができる経営管理ビザはとても便利な在留資格です。また外国人のメイドさんを一緒に招聘できるのも経営管理ビザを取得されている方にのみ認められています。
経営管理ビザの在留期間は、「5年」、「3年」、「1年」、「4か月」、「3ヶ月」の5種類です。
事業を営むための事業所が日本に存在すること。ただし,その事業が開始されていない場合にあっては,その事業を営むための事業として使用する施設が日本に確保されていること。
ここにおける事業として使用する施設は、賃貸借契約等において、法人名義の契約であり、事務所として使用する契約になっていなければなりません。従いまして、基本的には自宅と会社の住所が同じではいけませんが、一軒家などで1階は事務所、2階は居住と明確に分けられている場合には可能です。
ただし、一般的なマンションは居室と事務スペースが別の部屋であっても難しいです。
広さはあまり関係ありませんが、そのビジネスをするにあたって合理的なスペースが確保されていなければなりません。
つまり、IT関係や翻訳通訳会社であればデスク1つ置けるスペースがあるだけでも問題ありませんが、在庫を抱える必要があるビジネスであれば相応なスペースが必要でしょう。
経営管理ビザ取得のためには事務所内部の写真を申請書に添付しなければなりませんので、最低限デスクやパソコン、プリンターなどの事務機器が揃っている必要もあります。
事務所の契約はレンタルオフィスでも可能ですが、個室スペースが確保されていることが必要です。
申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に日本に居住する二人以上の常勤職員(日本人、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ハ イ又は口に準ずる規模であると認められるものであること。
経営管理ビザを取得するためには、ある程度の規模が必要です。
その規模は上記の通りですが、いずれかに該当していることですから、全てに該当する必要はありません。
従業員の確保が難しいのであれば、500万円以上の資本金の準備があれば可能ということです。
また、ある程度の事業規模が見込まれる合理的な根拠があれば、それらも必須ではないということになります。
500万円というのは、もちろん資金繰りの兼ね合いもあるでしょうが、ある程度の規模感のある事業を営むのであれば、家賃、人件費、事務機器やその他諸経費でその程度の金額は必要であると見込まれる金額です。逆にいうと、客観的に見てその程度の資金がないと、ある程度の規模感のある事業はできないと考えられるということです。
ここにおける資本金ですが、その資本金がどのように用意されたのかということも重要です。
自分でコツコツ貯めた、親から援助してもらったなどを立証する必要があります。
また、資金の出どころは、事業計画書に記載する必要もあります。
この資本金は、出資ですから、どなたかから借りたなど返済が必要な資金ではいけませんのでご注意ください。
資本金は、海外から直接現金を持ち込むか、日本の銀行に送金するかいずれかになると思います。
日本に銀行口座を持っていない場合には、海外から直接現金を持ち込むことになると考えられます。
1回で資本金のすべてを持ち込もうとすると100万円以上であれば、税関に申告する必要がありますので注意が必要です。
日本に銀行口座を持っていれば簡単ですが、持っていなければ日本の銀行口座を持っている人に協力者になってもらう必要があるでしょう。
経営管理ビザ取得のためには事業計画書の提出が必須であり、入国管理局における審査項目の一つです。
この事業計画書においては、その事業が経営管理ビザを取得できる程度の規模を確保し、安定性と継続性を確保できることが客観的に判断できるような内容で日本語で作成しなければなりません。
事業計画書は、事業概要、特徴、価格設定、サービスプラン、集客方法、取引先、事業のこれまでの進捗、これからの事業計画、将来の人員計画、今後1年間の損益計画書をまとめます。
会社が事業計画を作成するのは、従業員の目標管理、融資を受ける際の金融機関に対して、出資を受ける際の投資家に対してなど様々であり、それぞれの目的に応じて内容は異なりますが、入国管理局に提出する事業計画書で最も重視されるのは、事業実態を伴うかどうかです。法令を遵守し、計画通り事業を行い、安定的に継続して事業を行うことが客観的に見て取れるかということですね。
それらを考慮して計画を作成する必要があります。
申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,事業の経営又は管理について3年以上の経験を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
日本または外国の大学院において経営または管理にかかる科目を専攻して教育を受けた期間は「実務経験」期間に参入できます。したがって、大学院で経営にかかる科目を専攻して2年間の修士課程を修了した外国人は、事業の経営または管理について1年の実務経験があれば「3年以上の経験」という要件を満たしていることになります。
といった方に特に有用なビザであると考えられます。
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