政府は先日、外国人労働者の在留資格での一つである「特定技能2号」を、現在の2分野から11分野に拡大することを閣議決定しました 。
これにより、人材不足に悩む特定分野の企業は、熟練した技能を有する外国人材を確保しやすくなっていくと考えられます。
特定技能とは、2018年に創設された比較的新しい在留資格です。
その趣旨は「人材不足が深刻化している特定分野に、一定の技能を持つ外国人材を供給し、その分野の存続と発展を図ること」です。
「特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる」人材のための「特定技能1号」と、「自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる」人材のための「特定技能2号」があります。
1号は即戦力の単純労働者、2号は高度な専門性を有する監督者レベルの人材をイメージすると良いでしょう。
2号は分野が限られていた事に加え、在留資格を取得すること自体が難しいため、現時点では取得者の数が非常に少ない状況です。
2023年3月末時点で特定技能1号は15万人を超えるのに対し、特定技能2号は僅か11名です。
現在、政府では多くの問題を抱える現行の技能実習制度を廃止し、新制度を創出して移行する動きが出ています。
技能実習制度の目的は「技能・技術・知識の発展途上国への移転」とされており、国際貢献のための制度です。
しかし実際には外国人労働力の確保のための制度として機能しており、本来の意義を失っているだけでなく多数の深刻な問題を抱えています。
技能実習制度を健全な新制度へと移行し、現在技能実習制度が受け皿となって保持している外国人労働力は特定技能へ渡していく事こそが政府の狙いです。
特定技能制度は、「労働力確保のための技能実習制度」に代わる制度と言えます。
特定技能2号は取得要件が厳しい在留資格ですが、とても魅力的な待遇が用意されています。
「家族の帯同が可能」ということと、「累計での在留期間の上限がない」ことです。
最も一般的な就労ビザとして知られる「技術・人文知識・国際業務」にも同様のメリットがありますが、ビザの取得自体に学歴要件があります。
特定技能2号は学歴要件を満たさずとも取得できる、家族帯同も可能で、累計での在留期間の上限もない就労ビザなのです。
そして「技術・人文知識・国際業務」と同様、永住ビザへの変更も狙うことができます。
1号は人材不足に陥っている12分野に対応していましたが、2号はその内の「建設」と「造船・舶用工業」にしか対応していませんでした。
そのため今までは、「建設」と「造船・舶用工業」以外の分野においては1号で技能を身に着けても、2号を取得して継続勤務することができなかったのです。
それが今回の閣議決定により、1号とほぼ同じ対応状況となります。
分野拡大は様々な利点があります。
少子高齢化・人口の減少に歯止めがかからない日本は、外国人労働力に頼らざるを得ません。
今回の分野拡大は、日本の国力向上の一助となることでしょう。
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